2009年12月19日
Chapter 269 ヴォイニッチの科学書で振り返る2009年科学の話題 前編

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バージェス頁岩発見から100年目の記念すべき年

 カナダのロッキー山脈にあるバージェス頁岩地層が魅力的なのは化石となった生物がとても不思議で生命進化の試行錯誤とはこういうものなのかとひしひしと感じさせてくれる点にあります。
 現在の地球に生息している生物はその多くが共通の体の構造をしています。それは長い年月をかけて地球環境に最適化された結果なのですが、バージェス頁岩生物群は地球という環境の中でどのような姿が生物として理想的であるかをあらゆる方向から検討しつつ試行錯誤した記録です。その試行錯誤とは、目を5つ付けたり、口を手の先に置いてみたり、どっちが上でどっちが下かもよくわからない構造だったりしますが、そのすべてが、今の生物の構造を決定するために必要な創造物だったのです。

さらに広がる宇宙への視野

 地球に届いている最も古い光は137億年前に発した光ですので、私たちは137億光年の範囲をいつも観測していることになります。もちろん、宇宙はそれより向こうにも広がっています。これまでは宇宙はムラが非常に少なく均一だと考えられていました。けれど、たまたま地球が宇宙の均一な部分に存在しているだけのことで、宇宙には人類の想像を超える大規模な構造を持っている可能性も指摘され始めました。私たちが観測することができるよりももっと遠くの宇宙や、宇宙の外側はどうなっているのかについてのアプローチが始まっています。

太陽系外惑星系探査の進展

 2008年に、各国の巨大望遠鏡が相次いで太陽系外惑星の写真を直接撮影することに成功しました。2009年には日本の望遠鏡「すばる」も太陽系外惑星系の撮影に成功したことを発表しました。さらに、つい先日、おなじく「すばる」が約50光年離れたところに、太陽程度の大きさの恒星の周りの惑星を撮影しました。太陽クラスの質量の恒星の近くで惑星候補が直接撮像されたのは世界で初めてのことです。
 次に研究者らが目指すのは地球外生命体の存在する惑星を探すことですが、これは非常に難易度の高い観測です。この難易度の非常に高い観測に挑むプロジェクトが2009年、相次いで大きな進展を見せました。ひとつは南米チリに日米欧が共同で建設中のALMA望遠鏡です。ALMA望遠鏡は高地の砂漠地帯に80台のパラボラ・アンテナを建設し、それらで同時に観測することによって直径18.5kmの電波望遠鏡に相当する解像力を得ることができます。ふたつめは2006年12月に欧州宇宙機関が打ち上げた太陽系外惑星探査衛星COROTが相次いで成果を出し始めていることです。
 2009年2月、これまで観測された惑星の中で最も小さい、地球直径の約2倍の大きさの惑星を発見しました。三つめはNASAが2009年に打ち上げに成功した人工衛星ケプラーです。こちらは今後の活躍が期待されます。

のぞみの完成とHTVの成功

 2009年に国際宇宙ステーションに「きぼう」が完成し、国際宇宙ステーションへ物資を運ぶ日本の無人宇宙貨物船HTVが初飛行に成功しました。さらに、2009年12月21日からは野口飛行士による、6ヶ月というより長期間の滞在も始まります。

ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタ

▼患者の細胞からフィーダー細胞を作り出してiPS細胞を製作

▼火星から飛んできた隕石の生物らしいもの


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バックナンバー
   
Chapter 268 臭わない病気、聞こえない病気に関する最新情報  
Chapter 267 プランクトンが住みにくくなる北極海  
Chapter 266 宇宙でがんばっている探査機たちに思いをはせる  
Chapter-265 伝統医学
Chapter-264 軌道エレベーターと宇宙太陽光発電 
Chapter-263 最近耳にしなくなったオゾンホールの現状と地球温暖化との関係
Chapter-262 金平糖のサイエンス 
Chapter-261 30分でわかるノーベル賞2009  
Chapter-260 リチウムイオン電池
Chapter-259 iPS細胞の応用研究
Chapter-258 月での水の存在
Chapter-257 早起き遺伝子と恐がり遺伝子
Chapter-256 グラフェン
Chapter-255 地球温暖化とちょこっと発電 
Chapter-254 水素から電子を取り出す新しい触媒の発見 
Chapter-253 水にも構造がある 
Chapter-252 食べものと体内時計の関係
Chapter-251 金縛りについて
Chapter-250 国際宇宙ステーション日本実験施設きぼう  
Chapter-249 脳神経科学の話題  
特別番組 山口県立山口図書館 ちょこっとサイエンス講座「宇宙人はなぜそのヘンを歩いていないのか?」 
Chapter-248 サリドマイドの生化学 
Chapter-247 太陽系外惑星探査の歴史と現状 
Chapter-246 氷核活性細菌
Chapter-245 一卵性双生児の最新科学 
Chapter-244 ダークマターとダークエナジー
Chapter-243 フローティングタッチディスプレイ
Chapter-242 トランスジェニックコモンマーモセット
Chapter-241 食感とおいしさの関係
Chapter-240 獲得形質の遺伝に似た現象
Chapter-239 マルチバースと人間原理


>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

Science-Podcast.jp 制作






科学コミュニケーター 中西貴之(メール
アシスタント BJ

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ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 島生まれの島育ち
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

 


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