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ヴォイニッチの科学書 今週の話題

2015年2月21日 Chapter-537 精密な時計で計るのは時間ではない     

現在の「秒」は、セシウム原子が正確な周期で振動してその振動周波数に一致したマイクロ波を吸収したり放出したりする性質を利用した原子時計で定義されています。この仕組みはおよそ3000万年に1秒ものずれが生じます。宇宙の年齢138億年をセシウム原子時計で計ったとすると、460秒、8分近くも狂ってしまうのです。 日常生活ではなんら支障は無いのですが、さらに精度を高めることによって明らかになる自然現象はたくさんあります。

原子時計の精度を高める工夫は色々研究されていますが、マイクロ波の振動数をもとに時間を決定する際に誤差の原因となる現象のひとつが原子自身の位置の変化です。原子の位置が一定に保持されていなければマイクロ波の周波数にドップラー効果が加味されてしまい、測定結果が絶対的な値ではなくなってしまいます。

一カ所にじっとせずにふらふらしている原子を押さえ込む方法のひとつはすでに知られていてその方法を採用した光格子時計では、特殊な波長のレーザー光を干渉させて多数の閉鎖空間を生成し、その中に原子を閉じ込めることによって、原子の運動を凍結させています。そうして得られた精度が3000万年に1秒のずれです。  

東京大学と理化学研究所の研究チームは宇宙の年齢に等しい138億年で0.4秒しか狂わない精度の実現を目指して、ストロンチウム原子を用いた光格子時計の改良研究を行ってきました。原子の振動は温度の影響も受けます。気温のわずかな変化が原子の振動を変化させてしまい、周囲の気温の不確かさがそのまま時計の不正確さになってしまいます。そこで研究者らはマイナス180度で一定に温度を保てる装置を使った原子時計を開発し、室温20度で動作する原子時計に対して誤差を100分の1に減らしました。  

これほど正確な時計であれば、それで計ることができるのは時間だけではありません。これまでは知ることの出来なかった未開の物理現象を計測することができるのです。

たとえばアインシュタインの一般相対性理論からは「重力が強いところでは時間がゆっくり進む」という効果が現れることが導き出されています。これを実験で確認するには、たとえば一つの時計を重力がとても大きな太陽の近くに設置し、もう一つを地球に設置することによって確認することが出来ますが現実にはそんな実験は不可能です。ところが今回開発された絶対可憐性能を持つ冷却光格子時計では、時計を置く位置を1センチ上下に違えるだけで一般相対論的な効果が観測できるようになります。

つまり、この時計は重力で曲がった相対論的な時空間を計測する道具になりうるということです。わかりやすくいえば、重力の大きい、小さいを時間の進み方として数値で表示できるということです。これが何に使えるかといえば、地下資源探査、地下空洞、マグマ溜まりなどの検出ができる可能性を秘めています。この光格子時計を各地に配置し、それらの時計の間で相互にどれだけ時間の進み方が違うのかを継続して測定すれば地殻変動を検出することができ、地震予知が可能となるかもしれません。

さらには、このような精密な原子時計をいろいろな原子で作成して時間の進み方を比較研究することによって「基礎物理定数は本当に定数か?」という究極基礎物理学的な難問に答えることができる可能性があります。現在の物理学の理論は基礎物理定数・・・たとえば、電荷素量、プランク定数、光速の物理量など・・・が定数であるという仮定のもとに成り立っています。このような挑戦によって今まで私たちの知らなかった宇宙観が開け、それは宇宙誕生の謎を紐解く鍵となるかもしれません。

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