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科学コミュニケーター 中西貴之(メール
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ポッドキャストアワード2006 で第一次審査を通過しました。
■下関市立彦島図書館で「教科書が教えないホットな科学」講演会が開催されました (2006年7月22日)
■地元紙「山口新聞」で「最新科学おもしろ雑学帖」が紹介されました (2006年7月19日)
■iTunesミュージックストア Podcast部門で全 Podcast番組中第2位の聴取数となりました (2006年7月3日)
■ABCラジオ「おはようパーソナリティ 道上洋三です」特集コーナーで書籍が紹介されました (2006年6月16日)
■地元地方紙「宇部日報」で書籍が紹介されました (2006年6月8日付)
■「最新科学おもしろ雑学帖」が、Amazon.co.jp 売り上げランキング「本で 888位」になりました。(2006年4月9日付)
■翔泳社”ポッドキャスティング入門”でオススメ番組として紹介されました。
■ソフトバンクバブリッシングの雑誌「ねっため」2005年11月12月合併号でネットラジオおすすめ番組として紹介されました。
■JNN九州・沖縄・山口のブロックネットで放送されているドキュメンタリーテレビ番組「ムーブ2005」で紹介されました。>>紹介ページ
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[バックナンバー]

Chapter-121 織り姫はぐりんぐりん 
Chapter-120 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-119 広い宇宙に地球人しか見あたらない50の理由の中の10の理由 
Chapter-118 次世代燃料 
Chapter-117 熱中症・脳は自分の身体に起きる時系列の変化を予測している 
Chaoter-116 局所銀河団・植物の体内時計 
Chapter-115 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-114 ヒト ES細胞からドーパミン神経を 
Chapter-113 わたしたちはどこから来たのか 
Chapter-112 成層圏化学気候モデルを用いたオゾンホールの回復予測/アスペルガー症候群
Chapter-111 プリオンタンパク質に関する研究の最前線 
Chapter-110 夫婦仲とケガの治り・色覚進化のきっかけ 
Chapter-109 サイクリック宇宙論 
Chapter-108 躁鬱病モデル・軌道エレベータ 
Chapter-107 あかりときらり 
Chapter-106 ブラックホールは3種類
Chapter-105 水素社会の実現に向けて 
Chapter-104 冬眠のメカニズム 
Chapter-103 抗老化ホルモンとは? 
Chapter-102 今週の最新ニュース 
Chapter-101 今週の最新ニュース 
Chapter-100 「はやぶさ」最新情報とプルサーマルについて

>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

Chapter-122
アルツハイマー病に挑む
2006年8月12日 (前回の放送次回の放送

Chapter-122 アルツハイマー病に挑む

 アルツハイマー病は最初に物忘れが激しくなるという症状で現れ、やがては家族の顔がわからなくなったり、徘徊したり、凶暴になったり、人格が破壊されてしまう難病で、明確な治療方法も見つかっていないため、患者本人だけでなく看病する家族までも精神的に崩壊させてしまう恐ろしい病気です。

 アルツハイマー病患者の脳を調べた結果、神経細胞の変化、萎縮、消失、老人斑と呼ばれる模様の発生などが観察されました。老人斑ではアミロイドβタンパクと呼ばれるタンパク質が集まって沈着していることがわかっており、このアミロイドβタンパクのまわりに、元々脳で情報伝達などの役目を担っていたはずのグリア細胞と呼ばれる神経細胞が周囲を取り囲んでいる状態になっていることもわかっています。けれど、タンパク質が集まることがどのようにして神経細胞の死滅へつながるのかについてはよくわかっていません。

 東京医科歯科大学難治疾患研究所の研究チームはこの神経細胞死滅のメカニズムに対して、トリアドと名付けられた新しい細胞死を提唱しました。トリアドは細胞の中で細胞の生命を維持するために必要なタンパク質の合成を遺伝子レベルでジャマすることによって少しずつ細胞の機能を低下させ、やがて細胞死に至らせるメカニズムです。

 アルツハイマー病患者の脳の中で起きている細胞死のようすを検討した結果、その細胞死はゆっくりであることがわかっています。これまで知られていたアポトーシスもネクローシスも数時間というレベルで細胞が死滅してしまう急激なものですので、このメカニズムでは何年もかけて進行するアルツハイマー病を説明することは困難でした。けれどトリアドは基本的に細胞は生かした状態で内部から少しずつ機能を低下させるため、非常にゆっくりと細胞死が進行し、このようすとアルツハイマー病の進行は関係があるように見えます。この発見は神経性疾患の研究や治療方法の開発に大きな影響を与える可能性があります。

 また、別の研究ではアルツハイマー病をワクチンで治療しようとする研究も1999年に最初の論文が発表されて以降、進んでいます。

 ワクチンはインフルエンザの例でわかるように、病気の原因となるウイルスや細菌の死体、あるいは病原性を弱く改造したウイルスなどを人為的に体内に入れ、それに対する身体の抵抗性をあらかじめ作り出して準備をしておくことによって、本物のウイルスや細菌に身体を抵抗させようとするものです。

 アルツハイマー病はウイルスや細菌が原因では無いと思われますが、ここでウイルスに相当するのは前半で紹介したアミロイドβタンパクです。つまり、アルツハイマー病のワクチン療法ではあらかじめアミロイドβタンパクを投与することによって、私たちの身体にアミロイドβタンパクを除去する能力をあらかじめ用意させ、本番のアミロイドβタンパクが生まれたときにはこの能力によってアルツハイマー病に進行することを抑制しようとするものです。この方法はパーキンソン病などその他の神経性の疾患にも応用が可能であると思われ現在鋭意研究が進んでいます。

 このワクチン療法には、さまざまな実施方法が考えられますが、人間に対する臨床試験もすでに2000年頃から開始されていました。臨床試験の結果老人斑の消失、つまり、アルツハイマー病の治療に成功していた可能性が見いだされましたが、2001年に実際のアルツハイマー病患者にワクチン療法を行った臨床試験において、患者300人中18人に脳の炎症が起き、1名が亡くなりました。なお、ワクチン療法が実際に効果があることは、この亡くなられた1名の患者さんとその家族の研究に対する理解によって、死後研究目的の解剖が許され、それによって確認することのできた貴重な1例となりました。

 ワクチン療法が実際に老人斑を消す働きがあることが人間で確認されましたので、現在はより安全な方法でワクチン療法を行うにはどのようにすれば良いかについて研究が進められています。

最新科学おもしろ雑学帖で今回の番組関連する話題は]
  84番 脳を構成する細胞たち
  87番 脳の細胞は減り続けるわけではない
  126番 アポトーシス

[他局の科学番組放送予定]

ディスカバリーチャンネル
シリーズ人体のすべて 8/15〜8/23
 >>放送日程 

サイエンスゼロ (NHK教育 毎週土曜日 19:00〜)
 8/12 700万年の歩み 人類進化の謎を追う (再放送)
 8/19 海のゆりかご 干潟の危機 (再放送)

□/地球ドラマチィック (NHK教育 毎週水曜日 19:00〜)
 8/16 夏休みアンコール特集『メキシコ 謎の巨大ピラミッド』

素敵な宇宙船地球号 (テレビ朝日系 毎週日曜日 23:00〜)
 8/13 「巨大竜巻を追跡せよ!」〜アメリカ・気象キャスターの闘い〜
 
サイエンスチャンネル (SkyPerfecTV 765ch)
8/13 15.30〜  サイエンスオデッセイ「大陸移動」

□パソコンテレビGyaO カテゴリ:ドキュメンタリー


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