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インターネット科学情報番組



科学技術コミュニケーター 中西貴之(メール
アシスタント BJ

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 このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
 「ヴォイニッチの科学書」では毎週最新の科学情報をわかりやすく解説しています。番組コンセプトはこちらをご覧ください。>>クリック 

番組はいろいろな方法で聴くことができます。

□くりらじで聴く
 くりらじ(http://www.c-radio.net/)の「ヴォイニッチの科学書」をクリックしてください。ここからはすべての過去番組と先代の科学情報番組「ムートン」もお聴きいただけます。ファイルは Real と MP3 がお選びいただけます。

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■翔泳社”ポッドキャスティング入門”でオススメ番組として紹介されました。
■ソフトバンクバブリッシングの雑誌「ねっため」2005年11月12月合併号でネットラジオおすすめ番組として紹介されました。
■JNN九州・沖縄・山口のブロックネットで放送されているドキュメンタリーテレビ番組「ムーブ2005」で紹介されました。>>紹介ページ
■ポッドキャストのポータルサイト「PODCAST navi」の科学カテゴリー BEST HITS 10 にランクイン継続中です。
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[バックナンバー]

Chapter-98 H-IIA 9号機打ち上げ成功
Chapter-97 カーボンナノチューブの商業利用
Chapter-96 天の川銀河の構造に関する新発見
Chapter-95 バイオマス発電
Chapter-94 陸域観測技術衛星「だいち」
Chapter-93 自然科学の話題を3題
Chapter-92 「はやぶさ」「LHC加速器」最新情報
Chapter-91 脳のにおい識別エビデンスを解明
Chapter-90 平成17年版 科学技術白書を読み解く 
Chapter-89 サイエンスニュースフラッシュ 2005年12月
Chapter-88 惑星探査機が謎の減速 
Chapter-87 サイエンスニュースフラッシュ 2005年11月 
Chapter-86 学ぶほど頭の良くなる仕組みがわかった 
Chapter-85 免疫に関する新発見
Chapter-84 第2次ロボットブーム
Chapter-83 サイエンスニュースフラッシュ 2005年10月
Chapter-82 2005年ノーベル化学賞
Chapter-81 2005年 ノーベル医学生理学賞
Chapter-80 ロボットスーツ HAL
Chapter-79 アスベスト被害はどのようなものか
Chapter-78 FASTECH360 のテクノロジー 
Chapter-77 人類の進化について  
Chapter-76 テザー衛星でスペースデブリを掃除する 
Chapter-75 ホエール・フォールの不思議な生態系 
Chapter-74 アクチビンによる発生分化 
Chapter-73 シリーズ人工衛星「スロッシュサット・フリーボ」 
Chapter-72 太陽系誕生の謎に迫れ・ディープインパクト
Chapter-71 オゾン層の現状
Chapter-70 刺さないミツバチの完成 
Chapter-69 量子テレポーテーション 
Chapter-68 究極の再生治療 他 
Chapter-67 慢性疲労症候群 
Chapter-66 3500年前のミイラ 
Chapter-65 炭酸飲料好きも遺伝子が決める  
Chapter-64 英語文法中枢   
Chapter-63 シリーズ人工衛星「JWST」     
Chapter-62 ヒトの脳の進化は特別な出来事だった 
Chapter-61 延命薬はできるのか? 
Chapter-60 天気が悪いと腰が痛い・・・は本当?
 
Chapter-59 宇宙ラーメン  
Chapter-58 最新の宇宙探索成果  
Chapter-57 犬ががん検診をする時代が来るかも  
Chapter-56 ドクターイエローのテクノロジー  
Chapter-55 タイムマシンを作る  
Chapter-54 青いバラ  
Chapter-53 夢でシミュレーションする私たち  
Chapter-52 超高速インターネット衛星 WINDS 
Chapter-51 ビールに放射線防護作用が  
Chapter-50 2004年ノーベル賞 自然科学分野
Chapter-49 恐竜に関する最新情報
Chapter-48
 宇宙旅行がまた一歩近づいた
Chapter-47
 遺伝子治療を基礎から学ぶ
Chapter-46
 太陽系外惑星系を探す
Chapter-45
 始祖鳥は空を飛べたのか?
Chapter-44 反物質で宇宙飛行
Chapter-43
 わずか一遺伝子で社会的行動様式が変わる
Chapter-42 色を感じるメカニズムと色彩感覚
Chapter-41 文法を処理する中枢
Chapter-40
 カーボンナノチューブで作った世界最小の温度
Chapter-39 水素エネルギーの限界と二酸化炭素地中貯留プロジェクト
Chapter-38 量子コンピュータ実現への道筋が見えてきた
Chapter-37 多くの脊椎動物に共通する謎の遺伝子
Chapter-36 今週の人工衛星「はやぶさ」
Chapter-35 揺れない地震は要注意
Chapter-34 卵子だけでマウスが誕生した
Chapter-33 食感に脳はどう反応するのか
Chapter-32 ニート彗星、リニア彗星、ブラッドフィールド彗星
Chapter-31 シリーズ学会発表(1)
Chapter-30 吉田光由とその著作『塵劫記』
Chapter-29 花粉症は克服できるのか
Chapter-28 質量はどこから来るのか
Chapter-27 バイオハザードは身近なところにある
Chapter-26 御木本幸吉
Chapter-25 サイエンスニュースフラッシュ
Chapter-24 多重人格に関する最新の研究成果
Chapter-23 放射線を用いた植物の品種改良
Chapter-22 火星探査車「スピリット」のテクノロジー
Chapter-21 酒酔いのメカニズム
Chapter-20
 サラマンダーはパートナーの浮気を許さない
Chapter-19 結核治療薬が高所恐怖症治療に有効
Chapter-18 新聞ニュース斜め読み
Chapter-17 恐竜もがんにかかっていたらしい
Chapter-16 ニッポニアニッポン・トキ
Chapter-15 数を数える仕組みは男女で異なる
Chapter-13 あくびは親切な人にうつる
Chapter-12 試験のストレスでニキビは悪化する
Chapter-11 朝型人間・夜型人間は遺伝子で決まる 
Chapter-10 ウィルヘルム・レントゲンがX線を発見 
Chapter-9 自由研究はブラインシュリンプはいかが? 
Chapter-8 クローン人間は作れない 
Chapter-7 男性の脇の下のにおいで女性はリラックスする?  
Chapter-6 早川徳次・日本の地下鉄の祖 
Chapter-5 Kids:夏服は何故白い? 
Chapter-4 早期老化遺伝子が見つかった 
Chapter-3 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-2 高柳健次郎・全電子式テレビの開発
Chapter-1宇宙の起源へ挑む

>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

Chapter-99
ウナギの一生について

2006年3月4日 (前回の放送次回の放送

[今週のニュース]

花粉飛散経路探索プロジェクト
http://www.cellcomputing.net/kafun/
 花粉飛散経路探索プロジェクトとは、花粉の飛散経路の謎を解明することを目的とした世界初の参加型研究プロジェクトです。
 このプロジェクトでは、関東圏にある約10000平方キロメートルのスギ林を仮想的に約6700箇所に分割し、その一つ一つから花粉が飛散する様子をこのプロジェクトのために開発された花粉飛散シミュレータプログラムを用いてシミュレートすることで、発生源と飛散場所の関係の解明に挑むものです。この膨大な計算処理は、仮想的なスーパーコンピュータを作り出す分散コンピューティング技術によって、専用のソフトウエアをダウンロードして参加登録をした参加者のパソコンに分配され、それぞれのパソコンの余った処理能力を用いて行われます。花粉を追跡できるエリアは関東地区に限られますが自分のPCでスギ花粉がどこから発生し、どこへ、どのような経路で移動するのかを調べることができるということです。

兵庫県立西はりま天文台公園のなゆた望遠鏡が世界で初めて二重の円盤を持つ恒星を発見しました。
http://www.nhao.go.jp/pleione.html
 プレアデス星団の中で7番目に明るいプレオネという地球から400光年の彼方にある星のスペクトルの観測を行ったところ、この星に33年ぶりに新しい円盤が形成されていることが判明しました。プレオネに円盤があることは1973年にカナダの研究者によって発見されていましたが、その古い円盤はまだ存在し、その古い円盤の内側に60度の角度で交差するように新しい円盤が形成されていました。形成の時期は2005年秋頃であろうと思われます。なお、2つの円盤をもつ恒星は見つかっておらず、今回プレオネに新しい円盤が形成されたことを観測したことにより、なゆた望遠鏡が世界で初めて2つの円盤をもつ恒星を検出したことになります。


画:坂元誠(西はりま天文台) 上記サイトより引用
イラストは水素原子が放つ赤い光を強調して描いています。

日本近海のホエールフォール
 巨大なクジラが死ぬと海底に沈んでそこに独特の生態系が生まれるというお話しを2005年8月13日のChapter-75でいたしましたが、日本近海のホエールフォールの関する調査報告が2月22日に独立行政法人海洋研究開発機構から行われました。
 このホエールフォールはマッコウクジラの遺体を2005年4月16日に相模湾の熱海市沖の水深900mに海洋投棄したものです。投棄から9ヶ月しか経過していませんが、マッコウクジラはほぼ白骨化していました。軟体部で残っていたのは脳油器官を含む頭部の軟組織で、その周辺にエゾイバラガニが大量に集まっており、軟組織を食べている様子が記録されています。肋骨には通称ゾンビワームと呼ばれるゴカイの仲間オセダックスが大量に付着していることが確認されました。オセダックスの仲間はこれまで世界で3種が報告されていますが、いずれも鯨骨から発見されています。今回発見したオセダックスの仲間は、形態的特徴及び遺伝子解析の結果から、これまで報告されていたものとは異なる新種の可能性が極めて高いこともわかり、今回発見されたオセダックスの仲間は、新江ノ島水族館で2月23日から公開されています。 オセダックスという変わった名称は「骨をむさぼり食う者」という意味のラテン語で、口や胃や目などはなく、体の一部で鯨骨の中に入り込み、鯨骨中の脂肪分を分解する細菌を体内に共生させ、その細菌により養われていると考えられています。
Chapter-75


マッコウクジラの肋骨に付着するオセダックス
江ノ島水族館ニュースより引用

[ウナギの一生について]

 ウナギは浜名湖での養殖が有名であるように淡水魚として知られていますが海で産卵・孵化をおこなう産卵回遊を行います。ウナギのように海で卵を産んで淡水で成長する生活サイクルを特に降河回遊(こうかかいゆう)といいます。ウナギの一生のうち、産卵から幼生の時代にかけてはその生態はほとんど謎に包まれていています。今回、塚本勝巳・東京大海洋研究所教授らの研究グループがニホンウナギの産卵場は、グアム島の北西約200キロの「スルガ海山」にあることを突き止め、イギリスの科学雑誌ネイチャー2006年2月23日号にbrief communicationsとして発表しました。

 ニホンウナギは日本の国内で流通するウナギの9割近くを占める食用として代表的な種で、日本のほかに中国、韓国など東アジアに広く分布する種類です。淡水で成長しますが、大人になると産卵のため川を下り海に入ります。しかし、その後この親ウナギがどこへ行くのかは全く不明でした。同様の生活様式をとるアメリカやヨーロッパのウナギは西インド諸島のSargasso Seaで産卵し、アメリカ東岸やヨーロッパに回遊することが20世紀初頭から続けられた研究によって判っていました。

 今回研究者らは調査船「Hakuho maru」からプランクトン採取用の網を投入し、体長4.2mm〜6.5mmの産卵直後のニホンウナギの幼生を130匹、それよりもやや成長した体長11〜18mm程度の幼生を60匹採取しました。これらは船上でのリアルタイムPCRと持ち帰ってからのさらに詳細なDNAの検査でニホンウナギであることを確認しました。耳石と呼ばれる炭酸カルシウムでできた粒状の分泌物の成長を示すリング状の模様から判断してこれらの幼生は採取の2〜5日前に誕生してたことが判りました。これらの移動距離から逆算すると産卵域がグアム島の北西約200キロの「スルガ海山」であることはことによって確信されました。しかし、ウナギの幼生が確認されたのはスルガ海山からやや西よりの海域ばかりで、スルガ海山で投入した網からはウナギに関連する卵や幼生は確認されていないことが惜しまれます。

 太平洋の海流から推定すると、ふ化したウナギは赤道周辺の時速約1キロメートルで西に向かって流れる海流に乗ってフィリピン沖に到達し、ここで海流は南向きのミンダナオ海流と北向きの黒潮海流に別れますが、ウナギは黒潮海流に乗り3ヶ月から半年をかけてシラスウナギへ成長しながら日本へやってくるルートが今回の研究と1960年代以降の海洋調査の結果を世界地図にプロットすることによって見えてきました。

 日本や中国、東南アジア沿岸にたどり着いたウナギは川をさかのぼります。ウナギは普通エラ呼吸ですが、皮膚でも呼吸することができるので流れの激しいところは川岸に上陸し、水際を這ってさかのぼることが知られています。オールガイドドットコムが提供する語源由来辞典によると物価・気温、地位などが見る見るうちに登ることを示す「うなぎのぼり」という表現はうなぎがたとえ急流であっても、たとえ水が少なくても登っていくことから来ているそうです。川に入ったウナギは小動物を捕食しながら長し、5年〜12年ほどかけて成熟し、再び海に戻っていきます。日本の河川からグアム島周辺の産卵海域へ戻るにあたっては、塩分濃度や水温の違いなど海水の性質の違いを記憶しているものと思われています。

 産卵場を突き止める研究はこれまで50年以上も続けられてきましたが判明していませんでした。日本の沿岸で養殖用に採取されるシラスウナギはすべて今回発見されたグアム島の北西約200キロの「スルガ海山」の海域から来るとみられます。したがって、ニホンウナギは一生の間に数千キロの大回遊をすることになります。

 現在のウナギ養殖は、日本沿岸に回遊してきた天然のシラスウナギを捕まえて成魚に養殖しますが、近年、シラスウナギの量が激減しており、大規模な回遊をするウナギは海水温の変動など地球環境の変化の直撃を受けているのではないかと考えられます。

[エンディング・他局の科学番組放送予定]

サイエンスゼロ (NHK教育 毎週土曜日 19:00〜)
 3/4 700万年の歩み 人類進化の謎に迫る
 3/11 ZEROからまなべスペシャル 地球深部の謎に迫る

科学タイムトンネル (NHK教育 毎週木曜日 11:30〜)
 3/9, 16 DNAの構造を突き止めたワトソンとクリック

地球ドラマチィック (NHK教育 毎週水曜日 19:00〜)
 3/8 アラブ ナツメヤシの恵み
 3/15 ロボ・ネッシー浮上せよ

素敵な宇宙船地球号 (テレビ朝日系 毎週日曜日 23:00〜)
 3/5 世界遺産の光と影 Vol.1 〜ギアナ高地の悲鳴〜

サイエンスチャンネル (SkyPerfecTV 765ch)




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