2011年6月18日
Chapter-345 動物の細胞は自律的に集まって器官をつくっていた
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生物の臓器や体を構成する細胞は、球状に集まったり、層状に重なったり、立体的に配置されなければ、1個の臓器としてうまく機能しません。体内では細胞が必ずうまく配置されるような仕掛けが機能しているはずですが、どのような仕組みで効率的に細胞の配置が決まるのかについては解明されていませんでした。奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科の研究グループは、小型の熱帯魚「ゼブラフィッシュ」で実験を行って、引き金となる細胞の自律的な集合を経て細胞の立体的配置ができあがることを世界で初めて明らかにしました。この成果は、ES細胞やiPS細胞などの万能細胞から臓器を形成する再生医療研究にも役立つものと思われます。
この作業には繊維芽細胞増殖因子(FGF)という体内物質が関わっていて、FGFが活発に機能することによって細胞の集合を自律的に引き起こすことが明らかになりました。このことを確認するために、ゼブラフィッシュのFGFの機能を停止させる処理をしたところ、臓器の元に成る細胞集団が正常に形成されなかったり、器官配置における左右非対称性の異常が起きたりすることが分かりました。
動物がその体を正しく構築するにあたっては個々の細胞が勝手に移動してしまうと都合が悪いため、必要な細胞をとりまとめる役目をする何かがあって、細胞は、いつ動き、だれと結合し、その後、動かなくなるのか等を制御されているはずでしたが、今回、それが明らかになりました。
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［この番組の担当は・・・］
ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
1965年生まれ
島生まれの島育ち
応用微生物学専攻
現在化学メーカーの研究所勤務
所属学会 日本質量分析学会 他
日本科学技術ジャーナリスト会議会員
ナビゲーター BJ
インターネット放送局くりらじ局長
