2011年4月2日
Chapter-334 テトラシラシクロブタジエン
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炭素原子4つで四角形を作ることは有機化学の領域では一般に行われていますが、ケイ素原子4つで四角形を作るとどうなるのかは分かっていませんでした。今回、独立行政法人理化学研究所の研究者らは、4
つのケイ素で輪を作った化合物「テトラシラシクロブタジエン」を世界で初めて合成しました。その結果、4 つの炭素では長方形ができるところが、4
つのケイ素ではひし形が形成されることを発見しました。
ケイ素は、元素周期表では炭素と同じ縦列、つまり、14 族に属しており、炭素の真下の第3 周期に位置します。第3 周期以降の分子量の大きな元素の不飽和結合は極めて不安定なため存在することができないとされてきました。けれど1981 年、アメリカのウィスコンシン大学の研究者らが、ケイ素原子間の二重結合を持つ化合物「ジシレン」の合成に成功しました。それ以来、さまざまな分子量の大きな高周期元素による不飽和結合の化合物の合成が試みられてきました。中でも、6 個のケイ素原子でできたヘキサシラベンゼンや4 個のケイ素原子でできたテトラシラシクロブタジエンは、化学結合の仕組みを探る基礎科学の面から大変注目される分子であるため、世界中の研究者がその合成に挑戦してきましたが、今回理化学研究所が成功するまで誰も成功していませんでした。
研究グループが合成した化合物の分子構造をX 線で解析したところ、テトラシラシクロブタジエンの形がひし形であることを発見しました。4
辺の長さは平均2.28オングストロームでほぼ等しく、一般的なケイ素の単結合の2.34オングストロームおよび、二重結合2.14オングストロームの長さの中間の値でした。また、ひし形の内角の和がちょうど360
度であることから、
4 つのケイ素原子が同一平面上にあることが分かりました。
◇ ◇ ◇
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［この番組の担当は・・・］
ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
1965年生まれ
島生まれの島育ち
応用微生物学専攻
現在化学メーカーの研究所勤務
所属学会 日本質量分析学会 他
日本科学技術ジャーナリスト会議会員
ナビゲーター BJ
インターネット放送局くりらじ局長
